ヒナステラ:アルゼンチン舞曲集、3つの小品、マランボ
2008-01-27


アルゼンチン舞曲集は、わりあい穏健な書法だが、後のソナタ第1番に通じるものがある。

1.「年老いた牛飼いの踊り」は、クラスターによる忙しない無窮動。
最後にお決まりのギター和音アルペジオが出て終わる。
2.「優雅な乙女の踊り」は、表題のイメージとよくあっているが、なぜか昼のメロドラマに出てきそうなメロディーである。
3.「さすらうガウチョの踊り」は最初のよくわからない動きが繰り返されたあとで(たとえばショパンのソナタ第2番フィナーレなど)日が差し込むように明るい旋律が浮かび上がる。最後にグリッサンドで華やかに締めくくる。

3つの小品も聞きやすい。
1.「クージョ地方風」は子守唄の形式に似ているが、わさびの効いた和音が挟まれる。
2.「北部地方風」も、冒頭は日本の(実は世界共通か)子守唄を思い起こさせる。中間部は、ほろ苦いドビュッシー風和音が登場する。
3.「南米風」はギターがよく似合うボサノバ風の和音のあとで、2拍子と3拍子が交替する躍動的な曲想となる。中間部は叙情的でテンポがゆれる内省的なバラードとなる。

マランボは、「年老いた牛飼いの踊り」をさらに躍動的にした曲想。
ひたすらクライマックスに向かって突進する。
[ピアノ]
[ヒナステラ]

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