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ホルンと[ ?? ]ホルンのオクターブで奏でられているところが重要である。この H のオクターブは開始音であるとともに、オスティナートからリズムの要素を取り去ったオルゲルプンクトとしての音でもあり、16小節にもわたって延々この H のオクターブを息を接ぎながらも伸ばし続ける。ホルン奏者は、この伸ばしを快感と感じるのだろうか。私は快感と感じてほしい。
さて、この曲にはピアノ2台版があるのだが、第2ピアノには肝心のこの冒頭のHのオクターブがない。
なので、これからこの曲を第2ピアノで弾く機会がある方には、179小節左手は赤音符で示したような H のオクターブを入れてほしいのである。さらにいえば、ホルンオクターブの息継ぎのところでオルゲルプンクトを意識して、ホルンのパートを参考に都度 H のオクターブを注入してほしい(上記↑のところ)。
なお、付点音符のオスティナートは弦セクションのチェロが主に担当している。
オーケストラで D のテーマが一通り展開されると、ピアノが1小節の助走を経て195小節から鐘の音のような単純な旋律を提示する。その旋律を支える和声は複雑に変わっていて、どのように解釈していいかわからない。新たなテーマとみることはないと思う。あえて言えば、Dのテーマの 4小節めのE-Cの動きを拡張したものとすればいいだろう。ここはフォーレが和声のうつろいを楽しむために置いた回遊部で、スカルラッティのソナタの分析に使われた用語を借りれば一種のヴァンプ(vamp、ジャズでいう即興の意味)であろう。この E-C が半音下げられた Dis-H となって1番ホルンに受け継がれたあと、このヴァンプはピアノに再度戻され、オクターブとアルベルティバスからなる鐘のテクスチャーとなりオーケストラを包み込む。これと同時にオーケストラは211小節からBのテーマを回想する。
ここで聞こえるBのテーマに私はいつもハッとする。ピアノのテクスチャーも繊細だ。
この項で付け加えたいことは、ピアノのテクスチャーである。鐘のような、と表現したのだが、一か所破調とみられるところがある。次の譜面は219小節からの4小節で、ピアノと第1ヴァイオリンを抜き出している。222小節の1拍めが右手が Dis に、左手が Fis になっている。
この Dis と Fis の箇所は手なりでは両手で H を弾いてしまいそうで、じっさいそう弾いて何ら支障はなさそうだ。これは誤植かと思ったが、他の版でもすべてこれは Dis と Fis である。ということはフォーレは意図的にここを Dis と Fis にしたとみるべきだろう。その理由はわからないが、一つの仮説はこの拍でロ長調の主三和音を確立させたいという気持ちがあったからだろう。この拍で新たな音を打つ楽器はVn1のほかVn2、Fl1、Cl2で、これらはすべて H を弾く。他に前の小節からの伸ばしがあるのが
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